1.現状:低下を続ける食料自給率
日本の食料自給率(カロリーベース)は、2024年度の農林水産省の統計によると約38%前後で推移している。これは、主要先進国の中でも極めて低い水準であり、1960年代には70%を超えていたことを考えると、大幅な減少である。原因としては以下のような要素が挙げられる。
米以外の穀物(特に小麦・トウモロコシ・大豆など)の輸入依存
農業人口の高齢化と担い手不足
食生活の欧米化(肉や乳製品など、飼料用穀物を多く必要とする食品の増加)
都市化による農地の減少
つまり、国内の生産能力が衰える一方で、消費構造が「海外依存型」に変化した結果、自給率が下がっている。
2.自給率を100%にするには:2つの方向性
自給率を100%にするとは、**「国内で生産した食料だけで国民全員が生きられる状態」**を意味する。
そのためには、大きく分けて二つのアプローチがある。
(1)生産量を増やす方向
休耕地の再活用:耕作放棄地は全国で約40万ヘクタールに及ぶ。これを再び利用すれば、大豆や小麦などの基礎食料の増産が可能になる。
スマート農業の導入:AIやドローンを活用し、高齢者でも効率的に作業できるようにすることで、労働力不足を補える。
食生活の見直し:畜産物中心の食文化から、米や野菜・大豆中心の「和食型」に戻すことで、輸入飼料への依存を減らせる。
都市農業の推進:都市の屋上、ビル壁面、水耕栽培などを利用して、消費地近くでの生産を拡大する。
これらを組み合わせれば、理論的には自給率を70〜80%まで引き上げることは可能とされる。しかし、完全な100%は困難である。理由は、肥料・燃料・機械部品など、生産資材の多くが輸入に依存しているためである。
(2)人口を減らす方向
もう一つの視点として、需要側を減らす、すなわち「人口を減らすことで自給率を高める」方法がある。
これは極めて過激な発想に思えるが、理屈としては正しい。
例えば、現在の生産量を維持したまま人口が半減すれば、カロリーベース自給率は理論上倍増する。つまり、「分母(消費)」を減らすことでも自給率は上がる。
しかし、人口減少を「政策的に進める」ことは倫理的にも現実的にも不可能であり、労働力不足や経済縮小を招くため、持続的な解決にはならない。
ただし、「少子高齢化が進行して結果的に人口が減る」ことで、長期的には食料需要が緩やかに減少し、自給率の数字上の改善が見込まれる可能性はある。
3.持続可能な方向性:生産と消費のバランス
結論として、食料自給率を高めるためには、「生産拡大」と「消費抑制」の両立が必要である。
生産側では、技術革新と地域循環型農業による効率化。
消費側では、輸入依存の食生活を改め、地産地消を進める。
「100%自給」は理想的なスローガンではあるが、現実には資源や国際貿易の関係から、80%前後で安定した持続可能な自給構造を築くことが、現実的な目標となるだろう。
4.結語
日本が本当に「食の独立」を達成するには、単に畑を増やすだけでなく、
国民が何を食べるのか、
どれだけのエネルギーと資源を国内で賄えるのか、
という根本的な価値観の転換が求められる。
つまり、「自給率100%」とは、数字の問題ではなく、文明のあり方そのものを問う課題なのである。
![]()
--------
使用AI: ChatGPT
(註釈)
食料自給率100パーセントの実現可能性を聞いてみました。
