2025年11月05日

民主主義国家における個人の抵抗権

民主主義国家における個人の抵抗権とは、国家権力の不当な行使や、憲法秩序を破壊するような行為に対して、国民が自らの権利や自由を守るために、最終的かつ例外的な手段として実力をもって抵抗し、現行の統治体制の変更や回復を図る権利を指します。

抵抗権は、基本的人権を保障する立憲主義の根底にある思想であり、権力がその正統性を失った場合に、人民が権力を取り戻す人民主権の理念に根ざしています。ただし、抵抗権を明文で規定している国は少数であり、その行使は極めて例外的な事態に限られると解されています。



歴史的背景


抵抗権の思想は、中世ヨーロッパのゲルマン法における「君主が法を破れば臣民は契約上の義務から解放され、抵抗の権利と義務を持つ」という考え方や、キリスト教の思想など、複数の歴史的要素が作用して形成されました。

  • モナルコマキ(16世紀フランス): 君主が神の法を侵した場合、次位の為政者(貴族)が抵抗できると主張しました。

  • ジョン・ロック(社会契約説): 17世紀のイギリスの思想家ジョン・ロックは、『統治二論(市民政府二論)』において、人民の信託(契約)に基づいて設立された政府が、人民の生命・自由・財産などの自然権を侵害する圧制を行った場合、人民全体が最終的な権利として政府を打倒できる(革命権)と論じました。

  • アメリカ独立宣言(1776年): ロックの思想はこれに大きな影響を与え、「連続せる暴虐と簒奪(さんだつ)の歴史が、人民を絶対的暴政のもとに圧倒しようとする企図を表示するに至るとき、そのような政府を廃棄し、自らの将来の保安のために新たなる保障の組織を創設することは、彼らの権利であり義務である」と明記されました。

  • 第二次世界大戦後(ドイツ): ナチズムの経験を踏まえ、ドイツ連邦共和国基本法(ボン基本法)では、憲法秩序を破壊しようとする者に対する抵抗権(ないし抵抗義務)が明文で規定されました(第20条第4項)。



意義(存在理由)


抵抗権は、民主主義国家において以下の点で重要な意義を持ちます。

  1. 最終的な権利保障: 議会制民主主義や裁判所といった制度化された権利保障手段が機能しなくなったとき、人民が自らの人権を実力で守るための最後の砦となります。

  2. 権力抑制: 権力者が憲法の限界を超えて権力を濫用しようとする際、人民による抵抗の可能性が、一種の心理的な抑止力として働き、権力の自制を促します。

  3. 立憲主義の維持: 憲法秩序が破壊され、基本的人権が根底から脅かされるような極限的な事態において、憲法秩序の回復を目的とする行為を正当化する根拠となり得ます。



問題点


抵抗権は、その性質上、民主主義国家の法秩序の中で位置づけることが難しいという問題点を抱えています。

  1. 実定法上の規定の困難さ:

    • 抵抗権は実力行使を伴うため、法秩序の外にある超実定法的な権利と解されることが多く、法律によって組織化し、具体的な行使要件を定めることが概念上困難です。「許された抵抗権は抵抗ではない」という指摘もあります。

    • 多くの民主主義国家の憲法では、明文の規定がありません(日本国憲法にも明文の規定はないと解されています)。

  2. 濫用の危険性:

    • 抵抗権の行使は革命につながる可能性があり、「誰が」「いつ」「いかなる行為に対して」抵抗権を行使できるかの客観的な判断基準が曖昧になりがちです。

    • 体制転覆を目指す一部の勢力による暴力的な行為を安易に正当化する口実として濫用される危険性があります。

  3. 市民的不服従との区別:

    • 抵抗権は現行政府を打倒するなど憲法秩序全体の回復を目指す行為であり、通常は非合法な実力行使を伴います。

    • これに対し、市民的不服従は、立憲主義の枠内で特定の「悪法」や政策に反対するために行われる非暴力的な行為であり、抵抗権とは区別されます。抵抗権を主張する状況に至らないように、市民的不服従が健全な憲法秩序維持の役割を果たすことが期待されています。



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使用AI: Google Gemini
(註釈)良くも悪くも、Google Geminiは文章を段組み、ナンバリングしがちです。


posted by くまのおっさん at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | AIに書かせてみた | 更新情報をチェックする
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