知り合いの米農家さんから、米穀卸の最大手・神明さんがネット上でお米の安売りセールを行っている、という情報を教えて頂きました。
そこで、元コメ専業農家&関西在住者として、一体どうなっているのか?を考えてみました。
まず、件のキャンペーンサイトはこちらです。
消費者の方には残念ですが、本稿を執筆時点で、全商品売り切れです。
ここで対象となっている銘柄米は、以下の5つでした。
・ 【新米】秋田県産あきたこまち
・ 千葉県産コシヒカリ
・ 魚沼産コシヒカリ
・ 【新米】北海道産ゆめぴりか
・ 【新米】山形県産つや姫
何か気づきませんか?
そう、2銘柄のコシヒカリに【新米】の表示がありません!
それから、コシヒカリ以外の銘柄米は、知名度の高い新銘柄と、定番のあきたこまちです。
このことから、まず、一つの仮説が浮かびます。
「神明さんが本当に仕入れすぎて売りたかったのは、古米になった、コシヒカリ2銘柄である」
次に、セールを実施することの効果から、狙いを見てみたいと思います。
安売りセールの目的は、一義的にはもちろん消費者の方に注目を集めて頂くことです。
しかし、日本で最大手の米卸・神明さんが実施したのには、もう一つの目的があるのではないかと思います。
つまり、安く売ったことを、仕入れ先にアピールすることです。
これにより、仕入れ先に対し、安価に仕入れさせるよう、圧力をかける目的があると推測できます。
では、ターゲットとなる銘柄米は何でしょう?
銘柄米の価格指標「関西コメ指数」(KRI)を発表している、大阪堂島商品取引所さんのサイトによると、指標を計算する際に用いる銘柄米は、以下の8銘柄だそうで、それだけで日本のお米の3割を占めるそうです。
・ コシヒカリ: 新潟一般、千葉、茨城、栃木、富山
・ あきたこまち: 秋田
・ ひとめぼれ: 宮城
・ はえぬき: 山形
(参考)
この、実際の流通量から割り出した銘柄と、神明さんのセールの品目を比べてみると、重なっている銘柄は
・ 千葉コシヒカリ
・ 秋田あきたこまち
の2つになります。
神明さんの強みは、徹底した品質管理とブレンド技術により、いつでも安定価格で、安定した品質(食味)のお米を提供することにあります。
同社の主力商品・あかふじ米の強みは、まさにそこです。
セール対象銘柄のうち、魚沼コシヒカリ、山形つや姫、北海道ゆめぴりかは、高級銘柄で値段が高く、同社の主力商品に使用するのは、価格的に困難です。
また、千葉県産コシヒカリは、前年の在庫が残る状況と推測され、仕入れ価格を引き下げるよりは、仕入れ量を減らす方向に向かうとおもわれます。
ただ一つ残ったのは、秋田県産あきたこまちです。
以上から、神明さんのキャンペーンには、もう一つ、こんな目的もあるのではないでしょうか。
「秋田県産あきたこまちを安く買いたい」
以上、神明さんのキャンペーンを深読みしてみましたが、果たして合っているのか・・・
posted by くまのおっさん at 07:00|
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