2016年12月10日

境目の落とし穴

地域活性化ということがよく言われます。
が、そもそも、地域って何なんでしょう。


一番小さい地域はご近所さんや自治会でしょう。
構成員が毎日のように顔を合わせ、町で会えば挨拶を交わすような濃い人間的つながりのある地域です。

次に、商圏や生活圏があるでしょうか。
日常的に買い物や通勤で使う地域です。

さらに広く、観光圏もあります。
四国遍路が観光に入るか否かはともかく、これは四国の海沿いを中心に、四国全体を巡ります。
京都、奈良、大阪も、一纏めの観光圏と言って良いでしょう。
坂本龍馬脱藩の道など、特定のルートを巡る観光形式もあります。

これとは別に、県や市町村などの地方公共団体もあります。
行政サービスや公的な団体での地域は、原則これになります。

地域活性化が政府主導で行われている以上、受け皿もまた公的な団体である地方公共団体が単位となります。

が、ここに落とし穴があると私は考えています。


下の写真は、愛媛県の宇和島市周辺市町村の観光マップです。
単位が愛媛県宇和島市周辺の市町村なので、当然、お隣の高知県は載っていません。

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このため、このマップには近所のすごく有名な観光地・四万十川が掲載されていないのです。
この地域の交通の起点となる高速三間ICからだと、愛南町中心部に行くのより少し早く、四万十川に到着できるのですが・・・

写真には撮りませんでしたが、高知県四万十市の観光マップも同様でした。
例えば歴史好きな人に興味を引くであろう宇和島城が四万十から近いことも、戦闘機の好きな人が、紫電改が愛南町に展示されていることも、知ることができません。

現状、四国西南地域の観光には、多くが自動車を使って来ています。
愛媛県側も高知県側も、もっと広域の観光マップを用意した方が、観光客の方々の満足度は上がると思うのです。

また、生活圏についても、愛媛県愛南町周辺あるいは高知県旧西土佐村周辺などで、県をまたぐ事例が見受けられます。
例えば、高知県四万十市西土佐地域の一部では、四万十市中心部に出るより宇和島市街地に出る方が近いのです。

以上のように、ここでの問題は

1 「地域」といっても、観光、生活、地域コミュニティーなど目的によってその範囲が異なること
2 地方活性化政策の受け皿となる県や市町村の単位が、必ずしも上の「地域」と一致しないこと

の2点です。

地域活性化の「活性化」する目的によってすら地域の範囲がバラバラな上、それが受け皿の単位と一致しないのでは、うまくいくはずがありません。
とりわけ地方公共団体の「境目」が、有効な地域活性化政策の落とし穴になる可能性が高いのです。

この問題を解決するには、容易に行政単位が変えられない以上、近隣公共団体との協力・連携をもっと密にすることが必要です。
愛南町には、県をまたいだ高知県宿毛市と共同で学校を建てた実績もあります。目的が明確であれば、それは可能なのです。




個人的には、愛南町という県境付近に住んでいる関係もあって、高知県と愛媛県の県境は、いらないのではないかと思います。
でも、高知と愛媛が一緒になったら、名前はどうしましょう。
公平に高知と愛媛から一文字ずつとって名付けると、

…愛知県

やっぱり愛媛県と高知県は別々の方が正解だがや。

posted by くまのおっさん at 08:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 地域と地方について | 更新情報をチェックする

2016年11月22日

過疎ではなく、過密である

過疎について、考えてきたのですが、そろそろ結論を。

↓この記事は、以下の2つの記事の続きです。


いわゆる「過疎」のまちには、例外なく、共通項があります。

一人当たりの収入が、少ないのです。

そして、基幹産業が農林漁業であることも、共通しています。


戦前のような自給自足生活社会では、人が暮らしていくには少しの農地や山で事足りました。

しかし、現在の貨幣経済社会では、農産物や木材をお金に換えて、生活必需品を買い、生活に必要なサービスを受ける必要があります。


農業や林業で生計を立てていくには、2次産業、3次産業とは比較にならないほど莫大な土地が必要です。

さらに農業の場合、生計を立てられるだけの面積を管理、耕作していくには、一般に条件の良い土地(傾斜が少なく、水利があり、連続した1つの土地)が必要です。

過疎といわれている地域は、その条件を満たしていません。

そもそも、若手農業者が減っているのは、単純に生計が立てられないからです。
現状、農家一人当たりの耕地面積が、生計を立てるには、足りないのです。

言い換えれば、耕地に対して農家人口が「過密」なのが、現在の状況です。

それが証拠に、生計をたてることができている秋田県大潟村や北海道の大型農業地帯では、後継者に困っていません。

結局、現状起きている農村地帯の「過疎」は、実際は「条件の良い土地の不足」と「相対的な耕作者の過剰にともなう人口流出」だと考えます。


「過疎」という言葉に惑わされてはいけません。

生業としての農業からみると、実際は人口の「過密」こそが、問題の根源なのです。

posted by くまのおっさん at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 地域と地方について | 更新情報をチェックする

2016年11月16日

隠れた地域資源

山の紅葉などを料理の飾りとして販売する葉っぱビジネス、IT企業のサテライトオフィスなどで注目を浴びている徳島県神山町に行ってきました。

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ちょうど紅葉の季節で、色とりどりの木々が美しい山間部。

四国の山奥ではありふれた光景ですが、このような木の葉っぱを売ろうと考えた方の着眼点には、素直に感服します。

写真は撮りませんでしたが、町の中心部では、昭和な造りの建物の中で、IT企業の社員さん達がミーティング中でした。

噂通り、この町には色々な方がいらっしゃるようです。
各地から多くの方が視察、取材に訪れるのもわかります。

ただ、普通の四国の山村に見えるこの町の、隠れた地域資源については、あまり触れる方がいないと感じます。

その資源とは...
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これ、神山町役場から大阪駅前まで車で3時間かからない、町の位置です。 

物凄く山奥にある町ですが、時間距離でいうと、大都市に随分近いのです。

これなら、萎れないうちに葉っぱをミナミやキタに運ぶことができますし、いざという時に素早く大阪オフィスに駆けつけることも可能です。

地域活性化には、距離よりも重要な要素が沢山あると思います。
実際に「日本のチベット」と呼ばれる某県のさらに奥地で新たな事業が始まった例もあります。

しかし、神山町の場合、この「大都市圏からの時間距離」という「隠れた地域資源」が過小評価されていると感じます。
posted by くまのおっさん at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 地域と地方について | 更新情報をチェックする